※ネタバレあり

 最近のプリンセスプリキュアは本当に面白いと思う。ただただ唸るばかりですよ。

 今回の内容は、隣のクラスだという黒須という生徒が、はるかの夢を笑わずに応援するところから始まります。そうやって自分の夢を笑わない男の子は、カナタ以外初めてだったため、はるかは彼に好感を持ちます。
 その後、みんなが各々の夢を叶えるためにノーブル学園を離れてしまうのです。ゆいも黒須に美術館に誘われ、黒須に良い印象を持っていなかったトワもゆいが心配だからとそれについていくことになります。
 はるかはパフとアロマと一緒に、カナタが劇を手伝ってくれたことについてお礼をするため、町に出ていました。そこに黒須が現れ、パフとアロマを攫ってしまいます。
 はるかはひとりぼっちになって寂しいと感じ途方に暮れてしまいます。そこに黒須が現れ、一緒に探してくれることとなりました。
 人気のないところへ連れて行かれるはるか、そこで黒須は自分がクローズであると正体を現すのです。

 そのような感じの内容。
 その後の展開がもう、素晴らしい。すごく、残酷な展開を用意してくれたなという感じでした。

 黒須がはるかをたった一人の状況へ持ち込むために色々画策するのですが、そのやり方が本当に抜け目がないのですよね。
 元々きららが夢のため外国に行かねばならないというところから始まり、その後みなみが父に付き添ってほしいと言われる展開。
 最初、みなみは父に付き添うことを迷うのです。その迷いが、プリキュアとしての勤めが果たせないためのような言い方をしていましたが、前々回のみなみが悩みを持つきっかけの回があったこともあり、ちょっと悩み方に深みがあるように思えたのが印象的でした。

 で、普通ならここら辺でお膳立てを済ませたと考えて、反撃のきっかけを与えてしまうのが悪役の常だと思うのですが、ここからが違う。というか、一度破れているクローズだからできる行動をしているのが見事なのです。
 彼はそこから、ゆいさえもはるかから引き離すことを狙います。これ、ゆいが反撃されるきっかけになったクローズだから、こういう行動を取るのですよね。巧いと思いました。
 トワが心配してついていくようにしたのが作戦だったのかわかりませんが、あからさまに怪しかったのでトワの行動を誘っていたのかも知れません。

 そして、クローズとの戦闘後、追い詰められたフローラがカナタの言葉を思い出して立ち上がるわけです。
 そこに駆けつけてきたカナタの一連の言葉、これが凄まじかった。すごかった。
 お膳立てはされていたんですよ。夢を諦めないで欲しいと言っていた、記憶を失っていないカナタは、劇の役を他の人に譲るよう促しもしないし、代役を進んで引き受けようともしないはずだったのです。
 カナタは確かにカナタなのです。しっかりと大人の感性を持っていて、気配りもできる。けれど、「夢」という言葉に関連したところだけ、彼らしさを失ってしまっている。

 そんな彼が、良心で、本心のままにはるかに言うのです。
 そんなに傷付くくらいならば、君はプリンセスになるなと。
 はるかは絶望します。当たり前です。彼女の心の支えだったカナタから、そのカナタ本人から夢を否定されてしまったのですから。
 すごかった、はるかの変身が解けてしまうのも無理はない。そりゃあ目に光だって無くなってしまう。というか、たぶんこの展開って、「はるかはどうすれば絶望するのか」というところから逆算して、話を組み立てていったのではないかと言うくらい構成が見事でしたよね。
 恐らく、はるかが絶望するとしたら、カナタからの働きかけからくらいである。ってところから始まって、カナタが操られた上での発言では意味が無いから、カナタは記憶を喪失しているだけでカナタ本人であるという描写を丁寧に描いた。そして、夢に関する思いを消失してしまっていると描写した上で、このような場面を描いたと、そういうことなのだと思います。

 黒須が美術館に来ないことを不審に思ったゆいとトワが、はるかの元へ駆けつけようとしたとき、ストップとフリーズに足止めをされていました。
 その足止めをされていたトワが辿り着いたときには時既に遅しと言う展開。

 絶望したはるかによって、絶望の種が急激な成長を遂げるのです。やっぱり大きな夢を抱いている人が絶望を抱くと、より大きなエネルギーを生むのですね。パフュームを閉じ込めたときも思いましたが。
 で、こんな気になる展開なわけですが、次週はお休みなのだそうです。こんな残酷なことがありますかね。とりあえずとにかく、楽しみにします。
 最後の変身というのが待ち受けているわけですよ、予告でもう、勝利宣言しちゃっているわけです。でもとにかく、楽しみ。

 そういえばシャットさんが出ていた気がしますが、たぶん気のせいだったと思います。ロボット格好良かったっすね。冒頭数分で済ますにはもったいなかったようにも思いますね。
 あと、はるかが今も日課としてランニングや花壇の手入れを続けているのを描写しているのは、丁寧で良かったですね。今作、こういうところの丁寧さが本当に良いと思います。



Go!プリンセスプリキュア vol.1 [Blu-ray]




過去感想は下記より
アニメ感想:2015年夏期まとめ