※ネタバレあり

 公開日2015年10月31日(土)、ハロウィンに観てきました。プリキュアの本編がお休みということで、せっかくなのでこちらの映画の感想を書かせていただくことにしました。
 普段はネタバレ防止的な意味で、あまり公開中の映画の感想は書かないようにしているのですが、今回ばかりはお見逃しください。

 パンフレットを読んで制作者の意図をある程度知っているので、そのことを前提とした感想になります。
 全体を通した感想としては、3本立てってこんなにも疲れるのだなと言うことでしょうか。中年の自分には、2本立てくらいがちょうどいいかもしれません。内容の出来云々の話ではなくて、体力的な意味で。
 ハロウィンの公開日にあわせて、内容もカボチャメイン。三本立ての都合から時間配分への苦労が見られたものの、楽しい内容になっていたと思います。

・キュアフローラといたずらかがみ
 5分間のショートフィルム。お人形サイズにデフォルメされたフローラが、いたずら好きな幽霊が扮するカガミの前でモードエレガントに変身してみるという話。
 内容としては、初見では「あーこれはライトを振る練習用のフィルムなんだなって」って察しがつきましたが、パンフレットにもそのように書かれていましたね。
 映像としては3DCGの技術進歩を感じさせる内容でしたね。少しだけ幼めに描かれたフローラが、表情豊かに描かれているのが印象的でした。その表情に違和感を抱かなかったわけです。
 最後に登場したマーメイドがお化けを怖がらなかったことに安心したのは、私だけではないはず。


・パンプキン王国のたからもの
 パンプキンカフェへ名物のパンプキンプリンを食べに行ったはるか一行。しかしそこで食べたパンプキンパフェを食べたはるかは違和感を覚える。
 突然襲ってきたゼツボーグの撃退した後、光に包まれて、気付くとパンプキン王国にいた。しかしそのパンプキン王国の王と妃は、宝石を身に纏い仏頂面をしていて、来客などにも構えない程設けることに夢中になっていたのだった。
 そこで行われるプリンセスコンテストに臨む一行。しかしトワはパンプキン王国に違和感を覚えており、はるかも妖精たちがおかしな行動をしていることに気付き、調査を始めるのだった。
 すると判明したのは、パンプルル姫が閉じ込められていることが判明。彼女から両親はウォープ大臣が現れてしまってから変わったことを伝えられるのだった。
 といった内容。前述の時間配分の煽りを受けた内容になっていたというのが、第一印象でした。パンプキン王国を訪れた際のはるかの第一声とか、王や妃に対しての自己紹介はかなり巻が入っていたという感じ。
 また、パンプルルは王国の一番高い場所に閉じ込められており、そのやり取りが空を飛べるアロマとパフのみに頼ることになってしまっていて、掘り下げが足らなくなってしまっていたのも少し残念な部分。

 ただ、内容としては充分に面白い物でした。伝えようとしているテーマも明確で、しっかりと伝わってきた印象。
 はるかが和菓子屋の娘であり、おかしはいつも和菓子だった。だけど父親が一緒にプリンを作ってくれた。というエピソードが語られるのですが、その際にプリンを作る手つきとか、ただただ掻き混ぜる描写ではなく、調理法にあった作り方をしていました。
 はるかが父親によって教わったプリンで、王と妃がパンプルル姫のことを忘れてしまったことを思い出させる場面。それが過去にパンプルルがプリンを作ったというエピソードに繋がるのは、王道のストーリーで良かったと思います。
 50分という限られた時間の中で、伝えたい物を描ききる構成というのがどういうものかというのを見せてもらったという感じでした。

 あとはきららと違って普段描かれることが少ない、みなみのバレエのシーンがしっかりと描かれていたのは良かったですね。恐らくこういうダンスをしっかり描くのって、しっかりと枚数を費やさないと難しいのだろうと思います。だからこそ、映画というある程度お金がかけられるところで全力を尽くしたのかなと思いました。


・プリキュアとレフィのワンダーナイト!
 20分の中編。ある意味今作が今回の三本立てのメインというか、見所だったのでは無いかと思います。
 プリンセスプリキュアが後期のEDで視聴者の度肝を抜かせたのももう数ヶ月くらい前の話、その3DCGを全編で使用したお話なのですから。
 内容は長編の「パンプキン王国のたからもの」で登場した、パンプルル姫が幼少時に妃に作ってもらった人形レフィが住むパンプキングダムでの話。物語の繋がりはなくあくまで独立したお話なので、長編に出てきた小物のスピンオフ的立ち位置の作品と考えれば良いのかなと。
 部屋を訪れたはるかは誰かの呼ぶ声に気付き、その声のありかである人形を見つめると、いつの間にかその国へ変身した姿で来ていた。レフィからナイトパンプキンにより朝が奪われてしまったこと、朝を取り戻すためにはミラクルプリンセスライトを頂上に差し込まなければいけないことを教えられ、協力することになったのだった。
 といったもの。内容は非常にわかりやすいものになっており、プリキュアがレフィという少女の悩みを解決するという明快なものになっています。
 こちらは両親が娘のことを忘れているのではなく、両親はナイトパンプキンにより閉じ込められており、それをレフィとプリキュアたちが助け出すという構成になっていました。ちょっと背伸びをしたい女の子たちが観る内容としては、こちらの方がオーソドックスな内容なのかなと言う気がしましたね。

 そして、やはりそのわかりやすい内容から、見所3DCGの描写となるわけです。
 てかりの強いキャラクターデザインは、最初観たときは驚きます。しかし感情の機微が事細かに描写されていて、見事な物だと思いましたね。汚れの表現とかがまだまだ難しいのだなという感じですが、これからと言ったところでしょうか。
 こちらの分野と言えばやっぱり強いのはディズニーとかピクサーかと思うのですが、いやいや今作も負けていないという印象でした(前述の汚れとか傷の描写とかはやっぱり一家言あるのはディズニー、ピクサーの両者という感じですが)。
 日本アニメに観られる止め絵や溜めが存分に使われているわけです。
 一度モデルを作れば、動きの違和感があるかどうかは別として、動かすこと自体は容易である3DCGと言う手法。その手法としてはかなり異質な使い方をしているように思えましたが、違和感の無いものになっていたと思います。
 そして最後は本編のEDで締め、というわけです。監督さん曰く、本編のEDもライトを振ることができる内容になっているのだそうです。つまり映画の延長線上に本編のEDがあって、映画を観ることができなくても家でライトを振ることができるようにと言う配慮なのだそう。そこまで気をかけるのかと、脱帽する思いでした。全力で作っておられるのだなと。

 あとはレフィ役の子は小学6年生ということで、ただただ驚くばかりですね。ミュージカルのアニーやライオンキングに出演されていると言うことで、だからこその実力と言うことなのでしょうが、歌も上手い、演技も上手いと驚くばかりでした。いやはや、末恐ろしいなと。


 最後に思うのは、豪華三本立て、という看板に相応しい物だったと思います。こうやってじゃんじゃん色々なことに挑戦しているからこその、プリキュアの今があるのだと実感します。
 長編の駆け足具合は少し気になりましたけど、しっかりと内容をわかった上で腰を押し付けてもう一度視聴したら印象が変わるのではないかなと思っています。
 あと、監督さんが是非とも親子で観て欲しいとパンフレットでおっしゃられており、内容も確かにその言葉通りの内容となっていたわけですが、それは残酷すぎる言葉って物です。私にとっては、ですがね。



Go!プリンセスプリキュア vol.1 [Blu-ray]




過去感想は下記より
アニメ感想:2015年夏期まとめ