※ネタバレあり。酷評記事のため、今作が好きな方は参照注意です。

 急に面白くなると戸惑うので、心の準備をさせて欲しい。どう感想を書けば良いのかわからなくなります。
 ただこの面白さが、「今までの内容を全部忘れた上で視聴すると」っていう前提で成り立っているのは、何とももどかしい思いがします。でも忌憚なく書くなら、今作は積み重ねという考えを唾棄しているので、今の状態がごく自然ではあるのですが。
 ひとまず思うのは、もうシリーズ構成の方には、脚本を書かないようにしていただいた方が良いのではなかろうかってことです。設定の整理だけしてもらった方が良い気がします。
 個人的な感想ではありますが、担当された回ではっきりと面白いと言えたのが、11話の1回だけだった覚えがあります。……まあ今作ってシリーズ構成の方が約半分担当されているわけですけども。ちなみに今回は鐘弘亜樹さんという方で、シリーズ構成の方ではありません。9話、15話を担当されています。

 この回だけ考えると、前話で示されたキャラクターの立ち位置とも忠実だったため、混乱せずに視聴ができました。そのおかげで、はーちゃんの破天荒な動きも自然と面白いと感じることができました。
 リコも二人を諫める冷静なところを示すことができていたのも良かったです。これを最初の頃から徹底していれば、リコはもっと魅力的なキャラクターになっていたように思います。
 ただこの、仕切り直している感じがたまらなく不安でもあります。今作、そういうことは10話で一度行っていて、数話しか面白さが保たなかったのです。なので、今もあんまり期待はしていないのが本音です。
 前述したキャラクターの立ち位置も不安です。これ、本当にギリギリの綱渡りをしなければいけないような立ち位置なので、今から恐れ戦いている部分はあります。
 あらすじの後は、思ったことを書き殴ります。

++あらすじ++
 はーちゃんと再会した二人。
 はーちゃんがどこにいたのかを訊ねると、はーちゃんは海のように広がるお花畑を覚えていただけで、要領を得ない。後はきらきらと光っていて、気付いたらこの姿になっていたとか、誰かの声が聞こえた気がしたとか、抽象的な説明しかできない状況。

 はーちゃんはみんなと学校に行けることを喜ぶが、リコは冷静に状況を判断する。自分たちでは判断できないことだと。
 また、リコはナシマホウ界に来た目的であるエメラルドが見つかったことを心配する。目的が果たされたのだから、リコは帰らなければいけないかも知れない。また、はーちゃんも、魔法界へ戻らなければいけないかも知れないと。
 そこで、みらいは一緒にいられるよう校長先生へ頼もうと提案する。

 校長は新たな災いについて案じていた。リコの父親であろう人物が調査した結果によると、ランプから邪悪な物が飛び出したようであるとのこと。
 校長は、リンクルストーンエメラルドの存在が必要なのかと思案する。

 はーちゃんの魔法は無から有を生み出すことができる特別な物である。それは、魔法界ではありえないような魔法である。
 それは、自分の箒さえ簡単に生み出せるほどである。その箒で飛び回っているのをヤモーに見つかってしまう。
 
 ヤモーはラブーと対面し、与えられた力を存分に振るうよう言われる。
 そこではーちゃんに向かい、スーパーヨクバールを差し向ける。
 最初、はーちゃんは変身できない。そのためリコとみらいが救出し、トパーズに変身する。そのプリキュアの攻撃が通用せず、ピンチに陥った際に、はーちゃんは声にどのようなことを言われたのか思い出す。
 その声はスマホンからの物だったこと、エメラルドははーちゃんの思うままの形になると言うことを。そのために、はーちゃんはみんなを守るために、プリキュアとなると決めたのだと。

 「舞い戻る強き命」がはーちゃんであることを校長は察する。また、海のような花畑のことは、リコとみらいに出会う前の記憶かも知れないとはーちゃんは言う。
 二人に魔法界へ戻ってくるよう校長は言おうとするが、一緒にいたいという熱意に、無理に戻ってこなくていいと結論する。
 その後、みらいの母親にはーちゃんも一緒に住んで良いという許可をもらう。
 はーちゃんは校長が言っていた「素直な言の葉は時に魔法となって人の心を動かす」という言葉から、「ことは」と名乗る。また、リコによって花の海から「花海」という苗字を名付けられる。
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 と言ったあらすじ。情報量が以前とは比べものにならないほど多くなったため、あらすじを書くのに少し時間がかかります。こうやって情報を整理したことが、後々ひっくり返らないかという不安がすごくあります。

 忘れないうちに書いておきます。今回のプリキュアの立ち位置って、個人的な理由、日常を守るという目的だけで世界を救うというものだと思います。しかもそれを、プリキュアたちに使命感を持たせずにやってのけようとしているのだと考えられます。その上、そのような使命が存在することも、プリキュアに提示しないし自覚もさせないつもりなのかなと。だからエメラルドがどれほど大切なものなのかも、みらいたちが知ることはないのです。
 表現を良く書けば、責任という重荷を背負わせないとでも書きましょうか。その使命感を持たせないことを、作中の大人たちも一丸となって行おうとしているというか。
 断言しますが、もしそうならこんなのくっそ難しいです。避けて通ることのできない物を避けるだけでなく、提示すらしないのです。無理です。物語の主軸となる部分を自覚させないで話を進めるなんて、作る上では地獄でしかありません。
 更に言えば初期は、大人たちの方にすら使命感云々の部分を描写しないようにしていたように見受けられます。実際、それは無理だったから大人たちだけは、脅威が存在することを自覚させるように方針転換を図ったのではないかなと。
 だって、ラブーがランプから復活してしまったようだというくだりを、序盤のまほプリが描くなんてことを想像できないのです。描いていたら、今こんなに急激な作風の変化は起こしていないでしょう。

 はーちゃんがどんな存在なのかと言うことを、本当に丁寧に描いているのに好感を持てましたね。
 食いしん坊であること、まだ幼さが残っていること。そういった性格部分だけでなく、できることとできないことをはっきりと示していました。
 今までのように飛ぶことはできなくなってしまった。大きくなったので当然、小さな隙間に入ることはできなくなった。しかしその代わり、魔法界でも本来不可能な、無から有を生み出す魔法を使用することができる。
 てか、少なくともこの無から有を生み出す魔法が使えることは、校長に教えておくべきなのではなかろうかと思いますが、どうなのだろう。少なくとも23話においては、このツッコミは野暮なように思います。
 ここら辺、後々説明すべきだとは思うのです。しかし、説明することが絵面として面白いのかという疑問があるので、示されることはないように思うのですよね。重要な部分ですから、最高責任者である校長はせめて知っておくべきな気もする。
 ただ、こういう気遣いを廃するのが今作の特徴ですから、示されないでしょう。

 それよりも魔法でできること、できないことがここに来てはっきりしたことが重要でしょう。
 無生物を生物へと変えることは聞いたことがないと、リコは言っていました。モフルンや水晶玉のキャシーという例外はある物の、その基準はまだ残っているでしょう。その他にも、無から有は生み出せないことが判明しました。
 ですので今作における魔法は、人間界で言う機械と同等レベルのことができるものであると考えて良いのでしょう。もちろん、透明になることや空を単独で飛ぶなど、まだまだ人間界よりも優れた部分がありますが。
 とりあえす本来は生活を豊かにするレベルなのだと言うことがわかります。というか以前にもこういう感想書きましたね。無から有を生み出せるのはリンクルスマホンくらいのものだと書いています。
 後はそれに加えて、リンクルストーンを加えるべきなのかも知れません。モフルンのことを考えると。……って書きたいのですが、キャシーの存在が邪魔をします。この際キャシーのことは、魔法界の水晶は生きているって説明でもして片づけても良いのでは無かろうか。……何じゃそりゃって話になりますね。
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20話「ドタバタでヤバスギ!魔法界に生まれたエメラルド!」 ※最下部あたり
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 ……やっぱり過去の描写を思い返すのは、今作においては危険だなと思うのです。
 リンクルスマホンが今まで散々無から有を生み出すという不思議なことをしているのに、それを不思議なことだとリコが思わなかったのは何故なのか。みたいな疑問が浮かんでしまいます。
 やめましょう、気にしたら負けです。一応、自分はみらいとリコがお世話をしていなかったのではないかという部分も、「気にしたら負け」ということで割り切ることにしました。はーちゃん本人が家族だと言っているのだから、描かれていないところでしっかりと世話をしていたのです。

 というか、箒を生み出したときのリコの驚いた表情は良かったですね。今作って、序盤が恐ろしいくらいに能面が多かったので、こういう豊かな表情を観ると安心します。
 面白いと思う以前に安心してしまうところが、今作を自分がどんな視点で見ているか浮き彫りにしている気もしますが……。

 それらの諸々はともかくとして、日常をちょっと便利にする程度の魔法では、ちょっと楽しさが足らないようにも感じていました。ここではーちゃんというイレギュラーが登場したのは大きな意味があるでしょう。破天荒でドタバタな魔法が繰り広げられることが期待されます。

 ヤモーの目的がエメラルドのおかげで、戦闘に対する意気込みが非常にわかりやすくて良いです。
 はーちゃんが決意を新たに変身する演出も、すごく良かったです。格好良かった。というか、今回の変身の方が個人的にはグッと来る物がありました。心の盛り上がりがあったというか。変身のポーズを決めた際、背景がどえらく装飾されているのが印象的ですね。マンダラというか。多分意識しているのだろうなと。
 二回目の変身の方が好印象って、色々とシリーズ構成である村山功さんの脚本にケチを付けているようではあります。しかしそう感じたのだから、そう書くしかない。というかきっと自分は村山功さんの台詞回しが、ただただ合わないのでしょう。揚げ足取りされやすいような言葉を選ぶと言うか。訪ねてくる側の人間に「遊びに来る」っていう言葉を使わせる感性とは合わないのです。「遊びに行く」だろそこはと、細かい自分は突っ込んでしまいます。

 リコとことは(もうこちらにしましょう)がナシマホウ界に残ることを、校長は許しました。ここら辺、冷静に考えるとそれしか選択肢が無いのですよね。というか、重箱の隅をつつくようですけど、下記のような状況がある。
 ・当面の敵であるヤモーの目的はエメラルド
 ・ヤモーが扱うスーパーヨクバールはドクロクシーの力を持つ
 ・魔法界のトップである校長の力はドクロクシーには及ばない
 ・なのでエメラルドを守る力を持っているのは、プリキュアだけ
 ・プリキュアは二人の状態でなければ変身できない
 ・学校があるから、みらいを魔法界へ連れて行くわけにはいかない
 これらを考えると、魔法界の人々を人質に取るという行動を敵がしない限り、現状がエメラルドを守る上でベストな状況だと思われます。
 なので、校長はそのことを説明してリコたちに残るよう説明すれば良かったのではないかという気がしました。校長にエメラルドを守る術があったようには思えないので。何せ魔法界の魔法は、戦闘に使えるような物では本来無いことがわかっています。それとも、魔法界が攻め込まれたときのため、エメラルドを傍に置いておくべきだと考えたのか。要は、魔法界を守ってもらうために。じゃあナシマホウ界はどうするんだよという突っ込みが入るので、その考えは無しでしょうが。
 ここら辺の扱いって本当に難しいですよね。エメラルドの力は解明しなければいけない物でしょう。ただ、魔法界にはそのエメラルドを守る力がありません。
 当面の理想は、夏休みまで待って、学校が夏休みに入ったときに魔法界へみらいと共に行く。その際にエメラルドの調査を行うといったところでしょうか。面倒なのでこんなの描写しなくて良いと思いますが。
 まあわかってはいるのです。この話の意図は。この話で重要なのは、離れ離れになってしまうかも知れないけど、一緒にいたい。その思いが大人の校長先生に伝わったということです。
 前述した通り、諸々の使命感とか事情とかは、大人が代わりに考えるというのが、今作のこれからのスタンスであると思われます。もしかしたら校長はここら辺のことを考えたかも知れないと、脳内補完しておくと精神的安定が図れます。
 みらいの母親の部分も、その補完に含まれるのであろうと思います。確かに描いてくれた方が面白いのですが、今作はそこら辺の「親に感謝しましょう」という部分を考えずに済むよう心掛けられているように思います。それが良いことかどうかは別として、それを徹底しているのであればそこはもう指摘するだけ野暮なのです。
 ただ、その野暮が山積しすぎて自分は一度ダムが決壊しましたけども……。また決壊しないといいなと、思います。
 
 「花海ことは」を名乗るまでの流れが、非常にスムーズで良かったです。「ことは」と言う名前が、校長先生の思いを動かしたところから名乗るようになるという演出も良い。
 と言うか今回の話、本当に全体的に観ていて楽しかった。同じようなこと上でも書きましたが、ことはが箒に乗っているシーンのはちゃめちゃっぷりとか、体が小さいこと前提で取ってしまう行動とか、本当に考えられていて可愛らしく描かれていました。
 食いしん坊であることも好感が持てます。女児アニメの女の子は、ご飯を一杯美味しそうに食べるのが良いのです。
 次からも、このような調子で話が進んでくれることを祈ります。そうしたら、一番上の酷評っていう言葉を外せるのです。一応書いておきますが、自分は別に今作を貶したいわけではないのです。設定とか、脳内補完できるのであればしたい。
 ただ、みらいの屁理屈と言った「発言」をされてしまうと、それができないのです。そこら辺の酷さが極限に達した時期があった、23話はそんなことがなくて安心した。そういうことなのです。

 後思ったことは、リコが「みんなとずっと一緒にいられるように」という魔法を唱えなかったことが、後の伏線になるのかといったところでしょうか。「私があそこで魔法を唱えなかったばっかりに」っていう、えぐい描写するためのお膳立てとかにするのでしょうか。そういう後悔の描写は嫌いじゃないですけど、さすがにリコに負の部分を背負わせすぎな気もします。ただ、リコはどうやらそういう役割なようなんですよね。……うーん、どうなるのでしょうか。
 それとも離れ離れになりそうなとき、リコが初めて素直になって、それで離れ離れにならずに済んだ。そんな展開のお膳立てでしょうか。個人的には、そっちの方が好きですね。



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過去感想は下記より
アニメ感想:2016年夏期まとめ