※ネタバレあり

 最初からネタバレ全開で書きます。ご注意ください。

 率直に書くと、総勢44人にもなるプリキュア全員を活躍させることの難しさを感じさせる作品になっているなと思いました。
 言うなれば、所々で展開がどうしても雑になってしまう部分がある。そう感じました。
 ただ、雑にならなくても済むであろう部分についても、少々雑な印象を受けてしまう場面もあり、そこは首を傾げてしまうといったところでしょうか。
 特に、サファイアの変身シーンをお披露目する部分は、ものすごく雑です。出せと言われたから仕方なく出しました、という不平不満が聞こえてくるような出し方をしていました。もう少し上手い出し方があったように思います。
 というか作品の出来には一切関係ないのですけど、モフルンがいて、かつみらいとリコが二人揃っていないと変身できないことが恐ろしい足枷に感じましたね。これ、本編の方でも作劇の自由度を狭めていくと思います。変身するためには、二人離れ離れになると言う展開を描きづらいって事になるわけですから。

 後は、リコが立ち直る動機とか、もう少しどうにかならなかったのかなと。一度みらいとリコは挫けかける訳なのですが、お花見がしたいから頑張るっていうのはみらいと比べるとどうしても弱いように感じられます。もう少しセリフを練れば、いくらでも違う理由を出せたように思いました。

*****あらすじ*****
 内容としては、ある人物を蘇らせる薬を作るため、ソルシエールという魔女がトラウーマと共にプリキュアの涙を狙うという物。ソルシエールは相手の記憶を元にして敵を生み出す魔法が使用できます。そのために歴代のラストを飾ったボスたちがプリキュアたちを襲うという構図になるという話になります。
 その中で、先輩たちのプリキュアの助けを借りながら、ソルシエールの元に魔法つかいプリキュア!の二人は辿り着きます。そして、ソルシエールが何故涙を求めているかの理由を知るのです。
 それは彼女を育ててくれ、魔法を教えてくれた師匠が、究極の魔法を教えてくれていなかったからでした。しかし師匠は彼女に優しく、子守歌を歌ってくれてもいたのでした。
 それがきっかけにみらいは泣いてしまい、薬が完成してしまうのでした。そこで、蘇らせる薬など存在しないこと、完成される薬はトラウーマの力を解放するものだと判明するのです。
 力を復活させたトラウーマに倒されてしまいそうになるみらいとリコ、しかし子守歌を歌うと、力が溢れてくる。そこでソルシエールが子守歌を歌うと、ソルシエールの姿が今までの黒い姿から白い純白の姿へと変貌するのです。
 そこから、プリキュアたちは力をもらい、トラウーマを撃退するのでした。
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 そんな内容。
 とりあえず思うのは、師匠のエピソードで何故究極の魔法は子守歌であることを告げないまま亡くなってしまったのかということでしょうか。何度も問われているのに答えないのは、物語上の都合という物を感じました。
 映画ではあまり気にならなかったので、書くべきではないと思うのですが、本編も観ている都合上ものすごく取り上げたくなってしまう。
 というかぶっちゃけた話、この脚本家「村山功」さんってこういう物語上の都合を平気で使いすぎる嫌いがあると思います。

 それはともかくとして、内容は及第点というか、退屈しない面白さを維持するための工夫がしっかりと組み込まれていたと思います。モフルンがギャグキャラとしてしっかり機能するよう、随所に笑える要素が組み込まれていました。お子さんたちも、そういった場面は狙い通り笑っていたように思います。
 ですから、作品としてはしっかりと狙い通りにできた、良い作品のように感じました。終盤、ソルシエールがプリキュア並みの活躍を見せるのは、作劇の都合上問題無いのだろうかという疑問が湧きもしましたが、多分大丈夫なのだろうと思います。少なくとも自分の前の席にいる女の子は、席を立つくらい夢中になって見ていました。

 それと、普通にソルシエールを演じる方の歌声が迫力あって良かったですね。力が湧くという説得力をしっかりと与えてくれていました。

 余談ですが作中としては恐らく、補習が終わった後の話を描いているように思われました。リコとみらいが名前で呼び合い、リコが魔法をそれなりに扱えるようになっていることから、そのように推測できるかなと。
 でも、本編の方では未だに映画のようなある程度高度な魔法を描いている描写がありません。もしものストーリーとして見れば問題無いと言うことなのかも知れませんね。というか、そうしないとGO!プリンセスプリキュア勢の描写すべてが違和感の塊になってしまいます。
 ゴープリ勢は作中で言えば、きららがパリに発つ前、クローズを撃退した後に別れる前の間に描かれているという設定になっていました。
 それでもかなりの無茶が働いていることは確かです。少なくとも変身アイテムがその役目を終えたという描写がされた後の出来事であることは確かなのです。それなのに変身ができていることとか、城がもう元に戻っているのにグランプランタンが使えていることとか、なかなかに細かいことは気にしてはいけないことになっています。
 オールスターズは元々、時空を越えて先代のプリキュアが助けてくれるという前提の元描かれていますから、それで良いのです。



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