※ネタバレあり。酷評記事のため、今作が好きな方は参照注意です。

 もう面倒なので最初からフルスロットルで書きます。
 今回は面白くなかった。というか、変だった。

 話が本筋と関わりのある部分に入った途端、雑になると言うか、ストーリー運びがへたくそになるの、どうにかならないのだろうか。
 「キャラクターにこういう心情の変化を与える必要があります。だから、こんな展開を用意しました」っていう声が聞こえてくるような話運び。
 それでも別に良いというか、物語はそういうことを避けられない部分はあるのでしょう。けれど、そこにはキャラクター自体がその展開に納得できるよう帳尻合わせするのが不可欠だと思うのです。
 今作に、そんな物は無いと示しているような回でした。

++あらすじ++
 チクルンはみらいのホットケーキを食べてしまうが、嘘で切り抜ける。
 その後、友達となり、スパイ活動が上手くいく。

 みらいは昔からモフルンと一緒にいることを、アルバムで示される。

 その後、モフルンを連れ出すようオルーバに命令され、連れ出す。
 はちみつを取るためという嘘で連れ出したため、モフルンはコスモス畑へ案内する。
 そこにオルーバがいて、すぐにプリキュアたちが駆けつける。

 ドンヨクバールの攻撃がチクルンに飛んできたとき、プリキュアたちは彼を守る。それに感動する。
 撃破した後、リンクルストーンサファイアの精霊に認められる。
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 こんな感じのあらすじ。雑で申し訳ないです。細部が違ったりしたら申し訳ありません。

 とりあえず、これから先チクルンが改心したとして、登場人物が弱みを握られていたのだからと彼を許したとしましょう。恐らくそうなるでしょう。何せ彼女らは友人と認めた相手を名前で呼びます。チクルンは助けられる資格を得たのです。
 今回、敵キャラははっきりと意識して、名前を呼ばれていませんから。
 あからさますぎて溜息が出そう。それくらい乱暴なこと書くのには理由があります。

 個人的には、彼を許すことなんて無いだろうなと思ったから。
 彼はみらいのパンケーキを勝手に食べました。そして、それについて、「道に迷って何日も飲まず食わずで、出来心で食べてしまった」と嘘をついて切り抜けました。しかもその結果、みらいたちと友人関係にまでなって、スパイとしての目的を達成させています。
 こういう展開を平気で描くことに、自分は寒気すら覚えるのです。
 きっとこの先、チクルンはスパイ活動をしていたことをみらいたちへ謝るでしょう。それで許されるでしょう。でも彼は、パンケーキを食べたときに言った嘘について、謝ることは無いのです。
 スパイ活動をしているのは、チクルンが脅されているからです。しかし、パンケーキを食べて、そのことを嘘で切り抜けるのは、チクルン自身の性格から行われていることです。一緒にしてはいけません。
 謝るなら別々に謝るべき案件です。まさか「嘘」を良いこととして扱うつもりはないだろうって話です。
 万が一本当に飲まず食わずだったなら、もっとひもじい表情をしているべきでしょうし。そこまで、視聴者が斟酌する意味もないでしょう。
 そもそもこんなの、別々に扱うの難しいのだから、「何日も飲まず食わずで」という言葉を言わせないだけで避けられるのです。

 ……あーもう、本当にまほプリってクソだわ。再三書いていますけど、筆者はこういうの本当に大嫌いなんですよ。
 そりゃあ現実には、嘘で切り抜けることもありますよ。むしろ、そうした方が上手く回ることだってありますよ。一筋縄じゃあいかないですよ、現実は。
 でもそれをプリキュアで、女児向けのアニメでやっちゃいかんでしょ。悪いことをしたとき、嘘をついて切り抜けてもいいと子供たちに思ってもらいたいのか? まあ、そういう方針だって言うことは、2話やら19話で示されたみらいの屁理屈見ていてもわかるんですけどね。
 子供はそんなこと気にしないとか、子供はそこまで難しく考えないっていうのは無しでお願いします。頭を下げて謝っている場面さえ描けば、例え言い訳が嘘だとしても、そのキャラは反省している。そんな風に子供たちは感じるとでも思っている? そんなこと無いだろうと思いますが、万が一そうならば、そんな考えこそ子供を舐めている。
 こんなの子供向けのアニメじゃないですよ。子供向けのアニメじゃなくたって、こんなこと早々しないですけどね。
 他作の話をさせてもらうのを許していただきたいのですが、今作のシリーズ構成ってあの「トリコ」のシリーズ構成も担当されているのですよね。しかもこの話の演出は「トリコ」のシリーズディレクターが担当されているのです。トリコは食をメインテーマとした作品です、食に困った人物も出てくる作品です。それを経験したスタッフが、どうしてこんな話の運びをやってしまうのか、なんかもう今作の歪さを如実に表している気がします。

 まあもしかしたら、今後チクルンがスパイ活動のために何度も何度もみらいたちへ嘘を重ねて、それらが嘘だとバレる展開が用意されているのかもしれませんけどね。
 ……本当に? 無理な気がしてなりません。

 あと、モフルンの分を半分こするというモフルンの発言について、みらいとことはが何も反応しないのが不気味です。そこはみんなの分をみらいに分けてあげるっていう話運びになるのではないのか。
 リコが「私のも分けてあげるわ」と言って、ことはが「私も!」とか、そういうやり取り入れるだけで済む話じゃないのかって思うんですけど。
 もう作品全体に流れている空気が、壊滅的に悪すぎる。

 多分今作って、プリキュアを「道徳を教えてくれる存在、憧れの対象、理想のお姉さん」としては描いていないのでしょう。
 恐らくは、それこそ魔法少女として扱っているというか。憧れというよりは変身というか。ここら辺はよくわかりません。

 まあ、少し落ち着きましょうか。
 デウスマストの眷属たちは、復活するのにまだ時間を要するようです。オルーバはその間、調査を進めているとのこと。シャーキンスとベニーギョは相変わらず、調べることには無頓着。
 これ、結局復活しないって事なのか、それともデウスマストが現れた際に一斉に復活するのか。ここら辺は、良くわからないですね。

 モフルンとみらいの過去が、チクルンにアルバムをみせると言うことで描かれました。
 モフルンはみらいが産まれたときから一緒にいたのだと言うことが示されました。ここは良くできた描写だったと思います。みらいとモフルンの絆がしっかりと示される、良いエピソードです。
 チクルンに、モフルンがぬいぐるみであることを教えてしまったため、そのことがオルーバに伝わってしまいました。これ、最終的にオルーバに、変身するにはモフルンが必要だと言うことがばれる展開となるのでしょうね。ごく当たり前に予想できることを書くのは、何かしっくり来ないけど。
 まほプリに対して筆者が褒めるようなことを書かないのって、そういうことです。今まで見てきた物が当然のようにしてきたことを、わざわざ褒めるのっておかしいだろって言う論理です。

 オルーバがその結果モフルンに興味を持ち、チクルンにモフルンを連れてくるよう命じます。魔法で無生物に生命を与えることが本来不可能であることは、オルーバたちにとっても共通認識のようです。
 それをチクルンは面倒という理由でごねるわけですが、ここでオルーバに何かで脅されていることが示されます。つまりチクルンは止むを得ずオルーバに従っているわけで、救出の対象になったのです。
 個人的にはチクルンの印象がパンケーキの件で最悪なので、すごく腑に落ちないですが。もしかすると、そのパンケーキの件で嘘をつくような性格が災いして、オルーバに弱みを握られる結果になったと言った伏線回収が用意されているかもしれません。それで反省するに至る、と。
 ……申し訳ないけどチクルンが反省したとき、パンケーキのことも一緒に過ちを認めるような未来が見えない。多分スパイの件だけ謝って、チクルンは良い子になりましたとなる気がする。……切りが無いから、いいやもう。

 で、オルーバがモフルンと接触してきました。何でみらいたちが駆けつけてきたときにあっさりとモフルンをみらいたちに返したのか、その理由がわかりません。
 そこまで重要だとは、まだ思っていない。変身アイテムとは感づいていない。今回はプリキュアの力を確かめることも目的にあるから、モフルンを人質に取ったために、プリキュア本来の力を確かめられないことを避けた。と言ったところでしょうか。
 まあ、人質に取った状態ででも、プリキュアに止めを刺せてさえしまえば、デウスマストの眷属としての目的は果たせるのですけどね。何かここら辺はもう、オルーバがそういう性格をしているからって考えときます。
 とりあえず、いい声してますよねとだけ。

 みらいたちがモフルンを見つけ出すまでの過程が完全に省略されていました。ただ、これは仕方ないと言えるでしょう。今回ってモフルン視点の回ですから。

 モフルンはチクルンに連れ出されるとき、みらいに行き先を暗示するメッセージを残しました。
 これは恐らくモフルンが字を書けないため、コスモス畑という行き先を示すためにはああいうメッセージを残すしかなかったって言うことなのでしょうね。
 モフルン関連は、モフルンに何ができるか示されていません。ですから、どうして文字で行き先を伝えなかったのだろうとしか思えないけど。チクルンに二人だけで行こうと言われたから、行き先を書くわけには行かなかったというのは、展開として乱暴すぎますしね。モフルンは行き先を隠す意味が無いから。

 で、そのコスモス畑がみらいとモフルンが初めて一緒に行った場所で、それからモフルンとみらいは一緒に出かけるようになったということが描かれました。
 ここら辺の回想は、すごく良かったですね。モフルンが落ちたこと、それは偶然だったのかも知れないけど、それを子供が「一緒に行きたがっている」と解釈して、一緒に連れて行く。しかし現にモフルンは自分で動き出して、その時のことを覚えている。
 こういうエピソードこそ、モフルンという存在の本領発揮だと思います。おもちゃやぬいぐるみも意思があるかも知れない、だから大切にしようと言う。そんな思いが込められた良い演出です。
 とにかく、これ単独で考えれば、素晴らしい演出でした。それはここにまず書いておきます。

 これは間違いなく11話の補完でしょう。みらいとモフルンはずっと一緒だったと描いてきましたけど、実は11話でみらいは幼稚園と小学校にはモフルンを連れて行っていないことが判明しているのです。
 今回の回想では、幼稚園の服装をしたみらいが、モフルンも一緒に行きたがっていることに気付いた描写がされていました。
 モフルンの意思を知ってなお、幼稚園と小学校には連れて行かなかったみらいは、妙なところで現実主義者だなと思います。ここら辺、もう、なんつうか、モフルンを常に持ち歩くという設定がハードモード過ぎるなと思います。

 みらいはモフルンのメッセージに気付く点。これ、なんというか、しっくり来ないですよね。
 みらいは前話でリコの悩みに気付いていません。ていうかことはの悩みも気付いていません。実はモフルンの悩みも11話で気付いていませんでした。
 そりゃあ、悩みと思い出は違うでしょうけど、それでもみらいは察しの良いキャラクターでないのは実績があるのです。だから、コスモス畑のメッセージだって、本来だったら気付かない方が説得力があるのです。
 自分の思い出だけは記憶力が良いっていうことになるのか、とも思いましたが、それはさすがに酷すぎるのでないでしょう。まあ、とりあえず展開の都合を感じたというのに留めておきましょう。
 ……言ってしまえば、みらいは都合良くその時々で性格が変わる気がしますね。
 展開の都合で自由自在に性格も変えて動かせるキャラクターは、そりゃあ無敵だわなと思ってしまいます。

 みらいがパンケーキが無くなっていたことで大泣きしていましたけど、一応彼女は食いしん坊なキャラクターではあるようです。27話で魔法界の食堂がでてきたとき、盛りに盛りまくっていましたから。もっとたくさん食べ物のエピソードを入れてあげれば良いのにとは思います。
 あーでもイチゴメロンパンや冷凍みかんが度々出てくることを考えると、お菓子が大好きではあるのか。なんとなくパンケーキって、一食分のイメージを持ってしまいます。そっか、パンケーキはおやつですよね。
 おやつ大好きな女の子だから、おやつが無くなって大泣きしたんですね。

 で、今回はサファイアに認められました。「おだやかな気持ちのリンクルストーン」だそうです。
 ……穏やか? 寄りによって今回の話で一番認めちゃいけない奴が認めた気がする。これはもう、今後どんな展開で認められても問題無いというお膳立てができたと捉えるべきでしょうね。
 もう、それでいいと思います。レインボーキャリッジの販促としてどうなんだとは思うけど。

 戦闘シーンは立体的な戦闘シーンが繰り広げられていて、迫力がありましたね。サファイアはそういうシーンが多いように思います。背景が動くのが多いというか。
 ただ、戦闘シーンもチクルンが出てくるために妙な思いがする。
 チクルンはドンヨクバールの攻撃に巻き込まれそうになります。それをプリキュアが守ってくれたことに驚いていました。
 でもこれ、ちょっと弱いと思うのですよ。確かにチクルンはプリキュアたちを騙していますから、少しは罪悪感も湧くでしょう。しかしプリキュアはチクルンが敵のスパイだと言うことを知らないのです。そりゃあ、守って当たり前なのです。だってプリキュアなんだから。
 実は今作で守ったことがある相手は、校長とモフルンとはーちゃんとゆうととチクルンくらいなんですけども、そこは考えないでおきましょう。
 ともかくこの展開って、チクルンがスパイだとプリキュアたちに判明してから描くべきだと思うのですよね。もしかしたら、今後描くかも知れませんが。脅されていたとは言え、敵に協力していた人物でさえも守る、これこそヒロインのあるべき姿というか。
 て言うかそれくらいのことしないと、チクルンの心情変化としては弱すぎます。これはチクルンが嘘をついて切り抜ける性格をしていることを示してしまったことも影響しています。

 次回は冷凍ミカンの調理法だそうです。押し競饅頭をしている映像がありましたね。
 最近は過去のエピソードを拾ってきて、それを補完っていうか補修って言うか、形を整えようとしている印象。
 過去の雑なエピソードが襲いかかってくるまほプリにとっては、確かにやらねばならないことのように思いますね。ただ、立て直せるようなレベルの話じゃない気はするのです。逆にあの時の内容の酷さを思い出させるだけのような気も。
 過去を切り捨てれば、まだ、見られる内容になっている現在の状況を(まあ今回は酷かったですが)、壊すことにならないか心配になってしまいます。

2016/11/27追記:
 42話の都合上、ここにチクルンが36話でついた嘘で、重要な物を記述しておきます。設定というか、発言に関して矛盾が生じたので。
 ・パンケーキを食べた際に何日も飲まず食わずだった
 ・チクルンの故郷ではすっぱい蜂蜜しか採れない



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過去感想は下記より
アニメ感想:2016年秋期まとめ