※ネタバレあり。
  筆者の方針は元々、「こう考えれば、楽しめるんじゃない?」という脳内補完をするのが原則です。今作でもそれをできる限り徹底していくつもりでいます。
  できない作品ももちろんありますが、極力。


 プリキュアが揃った事による状況説明、今後の目的を示した回、とでも書きましょうか。
 それをペコリンとの交流を描きつつ、心暖まるエピソードにしていたと思います。
 ただ一点だけ、最後に店の名前を決める際は、どうにかいちか以外のメンバーも絡められなかったかなとは感じましたね。けれどそれは後述しますが、仕方ない部分もあったように思いました。
 そのことを差し引いても、充分に面白かったな、とも。

++あらすじ++
 あきらがプリキュアになったことで歓迎パーティを開く一同。それを見て長老はかつてのことを思い出す。
 しかしペコリンは表情を暗くしていた。かつていちご山でペコリンたち妖精はお菓子作りをしていた。ペコリンも下手ではないものの、頑張っていた。
 そこに悪い妖精が現れ、キラキラルを奪われないよう長老が対抗したことで、一話のホイップクリームの爆発が起こったのだった。そして長老は実体を失い、ペコリンは仲間たちと離れ離れになったのだ。

 落ち込んだペコリンを慰めるため、いちかは作戦を決行する。
 それは、ドーナツ作りに失敗することで、ペコリンに助言をしてもらうことだった。冒頭でもベーキングパウダーを忘れていたから、それをまた忘れて、ペコリンに指摘してもらって。
 そしてドーナツ作りを成功させて、デコレーションをした。ペコリンの形を模したドーナツを作った。それでペコリンは元気になり、仲間の妖精のドーナツも作成。
 それを持って、いちご山へ行くことに。そこで、仲間に向かって仲間のドーナツを作ったことを叫ぶのだった。
 するとそのドーナツからキラキラルが溢れ、かつて妖精たちがスイーツ作りをしていた映像が浮かび上がる。

 しかしそこに、悪い妖精フエールが現れ、ドーナツからキラキラルを奪ってしまう。そして、ペコリンのドーナツまでも狙う。いちかはホイップに変身し守ろうとするが、相手は分身して追い詰められてしまう。
 そこにあきらたちが駆けつけて、変身する。
 敵の攻撃をショコラが受け、マカロンが陽動をした後に、一斉に攻撃。分身を解いたフエールをホイップが見事撃退したのだった。

 妖精たちがいちご山でスイーツを作っていたのを思い、いちかは思い立つ。
 鞄から出現する工房で、お店をやろうと。みんなが集まる場所にしたい。そうすれば、ペコリンの仲間も来るかも知れないからと。
 みんなも賛同し、長老もプリキュアがお店をやることに嬉しさのあまり涙する。
 そしていちかはお店の名前も思い立ち、「キラキラパティスリー」と名付けたのだった。
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 あらすじはこんな感じ。状況説明と目的を一話でテンポ良くまとめた。非常に快い回だったと思います。

 最初に書いておきます。前述したとおり、仲間も絡めるべきだったと書いていた店の名前の件。これ、まんま商品名を店舗名にしているのですね。それならちょっと仕方ない部分もあるのかなと思いました。正直、自由に決められるならまだしも、最初から決まっている名前をエピソードに絡めるのは難しすぎるので。
 というか、作品内では「キラキラパティスリー」という名前自体は、ここで初めて名付けられたと言うことなのですね。

 あとは、いちかがペコリンを慰めるためにドーナツ作りをわざと失敗している描写があることは、書いておくべきでしょうか。食べ物を粗末にするな、という話になるのかも知れないのかなと。
 ただ、まあ、正直なところ自分はこういう部分、何かのためになっているなら問題無いと思う質です。食べる目的以外でも、何かの役に立っているなら良いのではないか、くらいに思っています。今回はペコリンを元気づけられたから良いのではないかなと。
 あと、ここで失敗のことについて一々書いていたら、「みんな失敗した料理は全部食べているのか」、とか、「絶対に失敗しちゃ駄目ってことか」とか、そういう所にまで話が及んでしまう気がします。
 ともかく、このペコリンを元気づけるための一連の流れは、丁寧だったと思うのです。1話でペコリンが、いちかのケーキ作りで混ぜすぎを指摘していました。それは、ペコリンの経験に基づいていた事だと判明した。
 そして、その指摘のおかげでケーキ作りが成功したから、いちかにとってペコリンは先生なのだと結ぶ。素敵な話作りだと思います。
 ベーキングパウダーを忘れていることを指摘したペコリンの表情が良いですね。落ち込んでいるけれど、そこから立ち直りかけている笑顔というのが、すごくわかりやすく描かれていました。
 今作、そういう微妙な表情の表現が非常に巧いと思います。
 そして、ペコリンの立ち位置もはっきりした気がします。ペコリンはプリキュアたちにとって小さな妹のような立ち位置なのですね。慰め方が、そういう、ゆったりした優しさに包まれていたので。

 冒頭、しっかりとあきらとゆかりが知り合いであることを描写してきましたね。知っていたのに黙っていたと言うことを、はっきりと示してきた。
 これ、なかなか難しい部分だと思うのですよね。きっと、ゆかりが「楽しそう」という理由で取る行動は今後もあるはずで、その扱いをどうするかということは切り離せない部分だろうなと。それでその扱いの正解の一つが、今回のように黙っていたことを示して、いちかが「なんで黙ってたんですかー」と騒ぐことなのでしょう。これがあるだけで、印象が大きく変わります。「こんなムキになる子は、からかいたくなるわな」程度の共感は得られなければいけないというか。
 ゆかりの行動がいちかたちに報されないままだと、お咎め無しかよと思ってしまいかねない部分があるというか。今後、ここら辺の扱いに苦労するだろうなと邪推したりします。

 後は細かいところですが、あきらが仲間になったことで歓迎パーティは開くけど、ゆかりの時は無かったのかなとか、そういうことを思ったりもしました。
 ただまあ、いちかはまだ前話の時点では「あきら個人」のためにスイーツ作りはしていないのですよね。どちらかというと妹であるゆいのため。だから改めて、と言うことなのかも知れません。
 単に人数が多くなったからパーティが開けるようになった、と言うことで良いのでしょうけども。

 敵側が初めて、プリキュアの存在について言及していましたね。キラキラルを自在に操る者、それを「プリキュア」と呼ぶと。ただ、悪の目的はあくまで「スイーツを狙う悪い奴」という単純な描写に抑えていくのかなと。
 ここら辺、非常にシンプルな作りになっているなと感じます。今後は上記で示した店を経営しつつ、悪の妖精からスイーツを守っていくという話になっていくのでしょう。
 実際、スイーツを作ると言う目的に加えて、敵勢力の事情を知っていく話を入れてしまうのは、なかなか難しいでしょう。なので、これくらいの塩梅で良いのだと思います。
 敵の目的が単純であればあるほど、和解の方向に話を振ったときも受け入れやすいのかなと。
 スイーツのキラキラルを奪う奴と和解するのであれば、スイーツを分け合えるようになれば良いわけですから。
 ここら辺、ちゃんと整理されているのではないかなと、今作を観ていると感じます。

 話が進むにつれて、安心して観ていられる感覚が強くなっているなと。キャラクターの土台ができたというか。
 もちろん、今後話がまとめきれるかといった部分は現時点ではわからないです。けれどひとまず筆者は、気を張らずに見られるかなと感じております。

 次回はキラキラパティスリーをオープンさせるために奮闘する話になるようです。色々と時間の取れない他のメンバーの代わりに、いちかが頑張ると言う話になるのかなと。



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過去感想は下記より
アニメ感想:2017年冬期アニメ