※ネタバレあり。プリキュア感想ではありますが、簡易的です。今回、酷評になってしまっています。

 響が音楽嫌いになった理由が描かれた今回。
 少し、和解としては弱いなと言うのが個人的な感想。
 父親は世界的に有名な天才音楽家。母親は世界的なヴァイオリニスト。その娘の響は当然、周りから期待も存分にされて……という事はなく、スポーツ万能であることを指摘されて、「幸せな家庭だね」と評されるに留められている。

 響が音楽を嫌いになった理由は、遊園地に行く約束があったのに、緊急で演奏をしなければならなったことから。遊園地に行きたいという思いが先行して、演奏を楽しむことができなかった。けれど、彼女は急な演奏のために準備不足だったけれど、ミスなく演奏できたことを褒めてくれると思った。しかし父は「音楽を奏でていなかった」と、褒めてくれなかった。それが、響がピアノも歌うのも、どちらもやめてしまうきっかけになったのだ。
 でも遊園地の約束を反故にしたのは事実じゃん? という突っ込みは無しでしょうか? そもそもとして、遊園地の扱いが定まっていないようにも感じられます。
 遊園地に行く約束をしていたけれど、急遽代理でコンクールに出ないといけなくなった。だから、遊園地はコンクールを終えた後に行くことになっていた。ということで良いのでしょうけども。

 てかここら辺、響がピアノを弾くことを楽しめなかった理由が一貫していなくて、違和感がありますね。
 奏に打ち明けたのは上記の「準備不足だけど完璧に演奏したのに、褒めてもらえなかった」というもの。しかし、父がネガトーンに向けて演奏する際に、楽しそうにしているのを見て気付いた際の言葉は、違う理由になっている。その際は、「早く遊園地に行きたかったために、演奏を楽しめていなかった」となっていた。
 これは個人的には良くないです。つまり、響は奏に嘘の理由を教えたことになってしまうから。あるいは、父の演奏を聴いたことで、早く遊園地に行きたかったから演奏を楽しめていなかったのだということにまで気付いたか。

 父親との和解についても、冒頭で示しましたが弱いと感じました。
 確かに彼女の父親は音楽を奏でることに没頭していることから、浮き世離れしている人物であることは納得できます。だから、音楽第一に考えているのも致し方ない。
 しかし、遊園地に行くという約束は、小さな子供にとっては大事です。その約束を破られて、それでも楽しい演奏をしろというのは無理がある。その前提がある中で、父の「音楽を楽しめていなかった」という言い分だけが正論として扱われて、「父親の気持ちがわかった!」というのは、展開としては少し荒いように思います。
 ハプニングを楽しめとか、演奏ができるようになったこと自体も楽しめとか、遊園地へ行くことと同じくらい演奏ができることも楽しめとか、そういうシビアなメッセージでも無さそうですし。

 なので、ここから響が音楽を以前のように楽しめるようになっていくとするのは、少し弱い気がします。だから今後、その部分について補強が行われることが期待されます。
 ブランクがあるからピアノの演奏が上手くいかないとか、だけどその上手くいかないことも響が楽しむとか。そういう描写をたっぷりと入れていく必要があるのかなと。その際に、父との会話も描かれていくと、素晴らしいのかなと思います。
 多分、父親が遊園地へ連れて行かなかったことを悔やむことは、作中で5年も経っていることを考えるとありえないから。

 こういった、誤解はしていたけれど親は子供のことを思って発言していたのだという展開は、プリキュアにおいては少し冒険しているのかなと思います。
 多分、ここまでが限界なのかなと言う気がします。親が完全に子供に悪い影響しか与えていないと言うパターンは、今後も描かれることはないですし、描くべきではないのかなと個人的には思います。そういうのは、午後九時くらいにドラマで描けば良いのだ、くらいに思うわけです。

 というかやっぱり正直なことは書くべきだと思うので書いておきますが、ドアの鍵が壊れていて開けられない。その状態は、今の響の心の有り様と同じだ。そんなことはない、そんなことはある。
 同時にドアノブを下げたら、ドアが開く。「二人の気持ちがハーモニーしたにゃ!」
 ……この展開はさすがに変じゃなかろうか。だったらこれいっそ、ドアの鍵を響自身で閉めてしまっていた方が、自然だったのではないかなと。



スイートプリキュア♪ Vol.1 [Blu-ray]

 ※上記以外の物でも良いので、リンク先より何か買っていただけると励みになります。



過去感想は下記より
アニメ感想:2017年春期まとめ