※ネタバレあり。
  筆者の方針は元々、「こう考えれば、楽しめるんじゃない?」という脳内補完をするのが原則です。今作でもそれをできる限り徹底していくつもりでいます。
  できない作品ももちろんありますが、極力。


 すっごく格好良かった。痺れますね、やっぱり。こういう戦闘シーン。こうでなくちゃとも、思う訳です。
 ジュリオのキャラ立てが見事に成功したなと思う訳ですけども、そう考える中でやはりゆかりは曲者だなと思う訳で。「いい名前ね」なんて言って、気付いているんだろうなーと。
 こういう知っていて黙っているキャラクターって本来、さっさと教えてあげれば良いのにと思うのに、ゆかりに関してはもっとやれと思ってしまうのが不思議ですね。きっとすごく気を遣って描いているのだろうなと思う。

++あらすじ++
 フェスティバルの結果、お客様は増えた。しかし同時にプリキュアのことも広まってしまって、話すわけにはいかないよと言うことになる。
 一方、水色髪の少年ジュリオは、キラキラルが人に食べられることで、その人の感情の変化により増幅することに目を付けていた。

 いちかの学校に、イケメンの転校生黒樹リオが現れる。
 女子にたちまち人気となる転校生、反感を覚えていた男子生徒も、スポーツ万能で熱い素振りを見せる彼に考えを改める。
 そんな彼に、いちかは昼休み屋上で出会う。彼はいちかに興味があると言う。彼の後ろ手には、ジュリオの持つステッキと同じ物が。いちかの友達であるりさが現れたことで、話は有耶無耶に。

 キラパティに行くと、ガミーたちが謝りに来る。
 彼らはもっと強くなりたい、大きくなりたい、綺麗になりたい。そんな望みに付け入られて、ベルトを着けた。すると、気持ちが大きくなって悪さをしてしまったのだという。
 いちかは謝る彼らに、スイーツを振る舞う。ガミーたちはスイーツを食べて、笑顔になるのだった。
 心を込めてスイーツを作る。それを食べてみんなが笑顔になる。まるで、伝説のパティシエプリキュアのようだと長老は喜ぶ。
 一方ジュリオは男性に何かを仕掛けていた。

 翌日いちかにリオは話し掛けてくる。いちかがキラパティを経営していることに興味があるのだという。いちかは新作のスイーツのアイデアをくれたりさと彼を連れて、キラパティを訪れる。
 ゆかりはリオのことを、疑った目つきで見ている。
 そして、いちかはりさのアドバイスを元に、カップケーキを作り始める。いちかは二人も作るように誘おうとするが、りさは不器用だから、リオはスイーツ作りは苦手だからと言う理由で断る。スイーツを作ったことがあるのかと訊ねるいちか。昔とリオは答える。なのでいちかは一人で作り始める。
 カップケーキは見事に焼き上がり、クリーム作り。いちかが作っているのに対し、リオは何故か的確なアドバイスを行う。
 「最初はボウルの側面を叩くように左右に泡立てて、固まってきたら大きく底から楕円を描くように泡立てる」と。見事にもこもこなクリームができあがり、いちかは閃いて羊のカップケーキを作り出す。

 帰り道、リオはりさにカップケーキを食べるよう誘惑する。そして公園でりさがカップケーキを食べると、キラキラルはその食べた人の感情の変化によって増幅した。リオは確信する、「やっぱりいちかの作るスイーツは別格だ」と。
 そしてリオは仮面を被り、正体を現す。彼は水色髪の少年、ジュリオだったのだ。

 そこに、いちかは悲鳴を聞きつけて駆けつける。りさが倒れているのを見て、即座に変身する。
 実験に付き合ってもらうとジュリオはキラキラルで剣を作り出す。その剣に、ガミーが付けていたベルトと同じ物を見つけて、いちかは気付く。「彼がガミーたちを操った黒幕だ」と。
 彼は「ジュリオ」と名乗る。ゆかりはその名前に「いい名前ね」と意味深な笑みを浮かべる。

 ジュリオは新たな武器を持ったプリキュアたちを圧倒する。
 いちかは彼に問う。どうしてこんなことをするのかと。ジュリオは実験をしているだけだと答える。それにいちかは怒る。スイーツはもっとあたたかくて幸せな物だと。だが、ジュリオはそれに激昂する。スイーツなんか大っ嫌いだと。
 そして剣から特大の光線を放つ。いちかはそれを、リオに教わったクリームを作る方法で、弾力のあるクリームを生みだし相殺する。
 しかしジュリオはそれを見て、自分が教えた方法だと気付く。
 攻撃を弾いた隙を突いて、プリキュアは合体技を発動し、剣を浄化する。ジュリオは撤退する。

 りさは気を失う前のことは忘れてしまっていた。
 他のみんなはキラキラルを悪い方向に操るジュリオのことを不安に思う。
 翌日、リオはホイップが自分の教えた方法で必殺技を編み出したことから、いちかの正体に気付いている。彼女がプリキュアだと。
 そして、不穏な笑みを浮かべていちかへ挨拶する。
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 あらすじはこんな感じ。細部間違っていたら申し訳ありません。いや、面白いっすね。これは。新たな敵の登場に相応しい、そんな迫力ある内容だったと思います。

 ただ、一点だけ苦言を呈するところがあるとすれば、「3組の斉藤の兄ちゃん」の扱いでしょうか。いちかが知らない人物とは言え、救えなかったという形になってしまっているわけです。
 あの剣を浄化したことで、彼のキラキラルも取り戻されたのでしょうか。そこだけが気になります。
 この先ジュリオは、プリキュアたちの気付かないところでも、キラキラルを奪い取る行為をするという前振りと言うことなのかも知れません。
 要するに、現状プリキュアたちは目の前で起こっている被害に対してしか救えていない。けれど、それではいけないのだとより強く使命感を持つようになる。そんな布石なのかも知れないなと。
 どうなるかは今後次第、と言ったところでしょう。実際、普通にここら辺の問題は難しいと思う訳で。自分の目の届かないところ、気付けなかったところまで、救えなかったと悔やむべきなのか。それはヒーローとしてのあり方を問われる際に、面白くなる要素の一つであるように思う。

 それはともかくとして、プリキュアであることがばれて欲しくない理由ですよ。これがもう、面白いのです。
 あおいは止めただけで、理由を明かさず。これ、バンド活動に支障がでるからと考えられますが、もしかすると自分の家にばれたくないからというのもあるのかもしれません。
 ひまりは「恥ずかしい」と。正に彼女らしい。あきらもまた、「巻き込んでしまう」ことを恐れている彼女らしさ。
 さて、我らがゆかり嬢はどんな理由をお持ちか。
 うん、「めんどくさい」は笑う。こんなんずるいですよ。何でみんな同意してんだよと。そりゃあ色々理由はあれど、一言でまとめれば「(恥ずかしいし巻き込むかもしれないから、要するに)めんどくさい」で合っているのですけどね。
 いや本当、ここのやりとりは楽しかったですね。
 
 リオを真剣な目つきで見たり、前述のジュリオを「いい名前」と評したりするゆかり。これはもう、正体に気付いているということでよいのだと思います。
 前回の次回予告において、完璧なリオに対抗心を燃やすような発言を彼女はしていました。だから真剣な目つきで見ていたのは、そのためと考えることもできるでしょう。けれど筆者はその考え方には立たない形を取りたいと思います。
 なんとなく、次回予告って本編とは別物っていう感覚があるから。何せ非常にメタい。最終回後のメンバーがしゃべっているような感じを受けるというか。
 ともかく、ゆかりが怪しんでいるという視点で見ると、面白いです。まーたこの人は先んじて正体に気付いているのだなと。黒樹リオ、ジュ(樹)リオ、ですものね。これ、いちかに教えるのかなと、興味が尽きないわけです。

 ガミーはジュリオにベルトを渡されたことで、悪さをしていたことがわかりました。その事情の描き方は、良かったですね。こうやって、悪さをしてしまった人たちもスイーツで仲良くなっていく展開を描いていくのかなと。本当に悪い、元凶との対峙は除くとして。
 それで、いちかが黒幕と評したジュリオですが、彼は確かにガミーたちに悪さをさせる原因ではあるけれど、本当の「黒幕」ではないでしょう。彼もまた、黒い星に操られている者の一人に過ぎない、という展開なのだと思います。
 その証拠に彼は過去に、スイーツ作りをしていたと思しき描写があります。クリームの泡立て方の方法ですね。それが、ホイップの起死回生の一手のきっかけとなり、ジュリオにいちかがプリキュアであることがばれる原因にもなったのです。ここら辺の、一つの描写が後の様々な展開の布石になるのは、見ていて非常に気持ちがいいですね。巧い! と、脱帽するというか。
 話を戻します。リオはスイーツ作りに悩んでいたか、挫折しそうになっていたときに、何者かに付け入られたのではないかなと。なので今後彼は、そういった過去の掘り下げがされるのだろうと思います。そして、最終的に「じゃあリオを操っていたのは?」という展開とするのではないかなと。
 物語の構成的な話をすると、こういう描き方は、「スイーツを美味しく食べられてみんなが幸せになって欲しい」という、日常的な物を守る目的に適していると思うのです。つまりはこの敵の描写は、世界へ危機をもたらすような黒幕を序盤に示さずに済むということになります。それはつまり、いちかたちが直面する問題が大きくなり過ぎないようにもできる。段々といちかたちの成長に従い、使命感とか決意とかが抱けるだけになったところで、敵の規模もそれに見合ったものとすることが可能になる。
 多分、そう言ったことをスタッフの方々は想定されているのではないかなと、今回見ていて感じたのでした。まあ、この敵云々の話、もちろん諸々全部妄想なので、大はずれということになりそうですが……。当たっていたら筆者だけで密かに喜んでおきます。

 いちかは発言が一々面白いですね。「宇佐美いちかは眠いですぞー」なんて、最たる物だと思います。店が繁盛していたから疲れた。疲れは取れていないけど、学校頑張らないと、でも眠い。
 そんな一連の流れの中で、この独り言感満載の言葉を入れているところが面白いです。いちかは面白い子である、というのを本当に徹底しているのだなと。ここから、リオとの最初の出会いに繋がっているのもまた、緩急があって良かった。

 戦闘描写は見事でしたねー。ステッキという武器を手に入れたことで、拳を使わずに済むようになった。そのことが戦闘のバリエーションに大きな幅を持たせていると感じました。
 というか、そういうことを四の五の書く必要無しに、ぐりんぐりんとカメラが動きながら戦闘する様は、単純に痺れましたね。面白い、手に汗握る戦闘でした。たまにこういう描写がされるのだと、今回で確信が持てたことになるのだなと。それだけでもう、これからが楽しみになります。

 次回はひまりがどうやらテレビへのデビューを果たす模様。よりにもよってあの引っ込み思案のひまりがそんなことをする羽目になったのは、そりゃあ知識量ナンバーワンだからなのでしょう。そういったレポートを頼まれてと言ったところでしょうか。
 ともかく、楽しみに待ちたいと思います。今作、何気にひまりとゆかりの二人が、筆者の好きなキャラクターなので、かなり期待してしまっています。



キラキラ☆プリキュアアラモード! Blu-ray Vol.1

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過去感想は下記より
アニメ感想:2017年春期まとめ