※ネタバレあり。
  筆者の方針は元々、「こう考えれば、楽しめるんじゃない?」という脳内補完をするのが原則です。今作でもそれをできる限り徹底していくつもりでいます。
  できない作品ももちろんありますが、極力。で、今回は私情により上記は無理です。

  酷評ですので、予め、ご了承ください。
  そして、登場人物に含まれるため、まほプリのことにも触れます。


 一言で言えば、長編に関しては「雑!」ですね。びっくりマークが付くほどに。
 断言しますが、もう筆者はどうしようもないほどに、村山功さんの書いた脚本が肌に合わないのだなと。
 描きたい場面を用意するために出来事を用意して、その出来事が大体道徳観を抜きにしているところが、本当に合いません。

 で、思ってしまうのですけど、村山功さんという人はもしかして、「どうせ敵を倒せば、元通りになるんだから」という考えが根底にあるんじゃないのかなと。
 そうでなければ描かないような、大げさに書いてしまえば道徳観の欠如したような描写がされることが多すぎます。

 今作は二作あるため、まず短編をさらっと書きましょう。

・Petit☆ドリームスターズ!レッツ・ラ・クッキン?ショータイム!
++あらすじ++
 パフやアロマ、モフルンとペコリンは一緒にクッキー作りをしていました。
 薄力粉が足らないため、パフが頼まれて持ってきたのは何とドラゴンパウダー。そのせいでクッキーはドラゴンに大変身。
 空に逃げるけれど追いかけてきた。炎を吐いてきたけれど、ミラクルライトで炎を跳ね返したら、ドラゴンはこんがり。たくさんのクッキーのできあがり。
++++++++

 短いお話なので、あらすじ書くと本編ですね、これ。
 とりあえずミラクルライトを振るための練習用の作品と言えるでしょうから、その役目は全うしていたと思う次第です。
 終始コミカルに描かれており、その様をトゥーンレンダリングされた妖精たちが表情豊かに動き回ります。そんな、見ていた単純に楽しい作品でした。

 小さな女の子が、ドラゴンが出た途端大声で泣き出してしまいましたが、それほど怖いものではなかったです。明らかに、連れてくる年齢が幼すぎただけだろうなと。親御さんは大変だなと、そんな風に思う次第。てかあの程度で泣き出すなら、家では大変だろうなと。

 とりあえず2コマで飛んでいないアロマを見ることができる、貴重な作品になっています。


・パリッと!想い出のミルフィーユ!
++あらすじ++
 いちかたちはコンテスト出場のためにパリへ。キラパティでインタビューを受けながらスイーツを振る舞う。
 しかしそこに現れるのは泡立て器の怪物。プリキュアに変身して撃退しようとするいちかたち。だが、シエルが何やら怪物にされると、キラリンの姿に戻ってしまう。
 怪物はそれを確かめると退散する。

 その後シエルはスイーツ作りが上手く行かなくなってしまう。
 それを、パーティの中に現れたかつての師匠であるジャン・ピエールに見抜かれる。彼の家で、基礎の基礎である生地作りをしようとしても、上手く行かない。
 それをジャンは彼女がいちかたちと共にいるからであるという。
 一方パーティ会場ではまほプリのみらいたちが来ていて、みらいとことはがスイーツを食べ漁っていた。水晶のお告げで災いから守るために現れたのだとか。

 ペコリンは彼の家を訪ねたとき、ミラクルライトをもらう。ジャンは泡立て器だと思っているようで、小さすぎて使えないからと。
 ジャンの家には幽霊のクックが住み着いていた。彼女は本に宿っていて、そこには究極のレシピが載っていたのだとか。ジャンはそれを作っているという。

 シエルはジャンに弟子入りした経緯を話す。
 屋根裏に潜みスイーツ作りを学んでいた二人、しかし人間に姿を見られた二人はそこから逃げ出し、お腹を空かせて困っていた。
 そこでジャンの家を訪ねて、ミルフィーユを作ってもらったのだった。キラリンとピカリオはカラスに追われていた。そのミルフィーユは、停電で暗く、そのカラスがジャンへと襲いかかる中作ったのだった。にも拘わらず、大量のキラキラルを宿していたのだ。
 二人は弟子入りを決意した。そしてキラリンはその修行の中で、人間へと姿を変えたのだ。

 コンテスト会場へ戻った一同。シエルは悩んでいた。
 一人でいるべきだとジャンは言う。しかしシエルはそれで、ピカリオの悩みに気付かなかった。そんなことを繰り返してはいけないと思っていた。
 だから、仲間たちと一緒に作ったスイーツを、食べてもらうことにしたのだ。スイーツ作りが上手く行かないシエルには指示を出してもらう形で。ジャンに作ってもらったミルフィーユを。
 スイーツ作りの時、ペコリンはシエルが失敗する際に、額に怪しい紋章が光るのに気付く。
 ミルフィーユが完成した頃、コンテストの他の参加者にも異常が。生地が異常に膨れ上がったり、部屋が凍り付いてしまったり。
 そこに、泡立て器の怪物が現れる。そしてペコリンは気付く、シエルのスランプはその怪物が紋章を付けているからだったのだ。
 その怪物は一般人は襲わなかった。ジャンのことが心配で駆けつけるが、ジャンも無事だった。
 いちかはミルフィーユを持ってきており、デコレーションが済んだら食べて欲しいと提案。しかし、彼は断る。彼は究極のスイーツのためにそんな物に構っていられないのだと。

 地下室で彼はそれを作っていた。もう少しで完成するのだと。その中、ジャンの作ったスイーツが怪物となって動き出していた。
 それを見て、ジャンは喜ぶのだった。しかしそのスイーツたちは町をスイーツへと変えてしまう。それを阻止するためにいちかたちは変身する。
 だがシエルはキュアキラリンになってしまう。
 その中泡立て器を操っていたのはクックだと言うことが判明する。クックはジャンを騙していたのだ。
 そのため、キュアキラリンはジャンを止めるためにジャンの家へ行く担当に。しかしジャンはスイーツ作りを止めようとはしなかった。

 健闘するプリキュアたち、しかしクックに動物の力を利用していることを見抜かれ、他の動物に姿を変えられる。大苦戦するが、変えられた動物の特長を活かし、怪物たちを抑え込もうとする。
 しかし、遂に囲まれてしまう。その中、まほプリの面々が駆けつけて助けてくれる。
 いちかは「いつぞやの」と喜ぶ。その場を彼女らに任せて、ジャンの家へ向かう、進むのが遅い生き物だからタクシーで。
 まほプリのプリキュアは大活躍、怪物を圧倒する。その中でミラクルは、敵の攻撃を魔方陣ですり抜けさせ、古い町並みに叩き付ける。

 究極のスイーツはいちかたちが駆けつけたときには完成寸前。最後の材料はジャンだったが、いちかが体当たりしたことでジャンが究極のスイーツの中に落ちてしまい完成してしまう。
 しかしそのスイーツにはキラキラルがほとんど含まれていなかった。
 それはクックの願望のために作られたスイーツだったのだ。ジャン・ピエールを宿したスイーツは動きだし、パリの町並みをスイーツに変えてしまう。

 ミラクルライトの力でキュアパルフェへと変身を遂げる。すると他のプリキュアたちも、呪いが解けた結果、羽が生えて飛べるように。しかし敵の力は強く、町がスイーツになるのを止められない。エッフェル塔に刺さったスイーツは自立して動き出してしまう。
 煙幕を巻いたり、音を出したりして、攪乱して攻撃してくる。
 キュアパルフェが話し掛けても、ジャンは応じない。投げ飛ばされてしまう。
 だからシエルは、いつもそうしていたように、出会い頭でもそうしたように、彼に頭突きを食らわせる。そして、エッフェル塔に突き刺さっていたがために、倒れてしまう。
 そうすると、ジャンの正気が少しだけ戻り、ミルフィーユに反応。いちかたちはスイーツと化した町並みから仕上げ用のイチゴのドライフルーツと粉砂糖、生クリームを拝借する。

 だが生クリームのデコレーションをしようとする中、クックの力により邪魔が入る。しかし再びミラクルライトによって防御。だが今度はカラスを飛ばしてくる。
 しかしパルフェとホイップはジャンのように、カラスの攻撃をかわしながらホイップクリームを完成させてメモワールミルフィーユを完成させる。
 それをジャンに近付けると、プリキュアたちごと飲み込まれてしまう。
 中にいるジャンに食べさせると、正気に戻って、スイーツは止まる。しかし今度はクックがスイーツと同化。しかしメモワールミルフィーユを使用した技で撃退。

 クックは浄化される中で、ジャンだけが彼女のスイーツを褒めてくれたことを思い出すのだった。
 彼女は、ゆかりに今回の騒動を起こしていた原因を看過されていたのだ。誰も彼女を認めてくれていなかった。まずいと罵られた。しかし彼だけは違ったのだ。

 コンテストの結果は準優勝。有名なパティシエとの対決に惜しくも敗れる。その対決について、学んだことは一切ないとシエルは答えると、次は優勝すると宣言するのだった。
 また、クックは家が無くなってしまったジャンの元を訪ねていた。そして、彼にスイーツ作りを学ぶのだった。
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 あらすじはこんな感じ。細部間違っていたら申し訳ないです。

 最初に「どうせ敵を倒せば、元通りになるんだから」という考えが根底にあるのでは、と言う部分を片付けてしまおうと思います。
 筆者はまず前提として、上記の考え方はある例外を除いてありえないと思っています。
 それは、登場人物がかつて世界が滅びかねないほどの危機に遭遇しており、その危機から脱するのに被害を最小限にすることを優先できない状況であったこと。だから仕方なく、後で復元をさせるという判断をした。
 そして、それを更に上回るような驚異が襲いかかっている、という状況だけです。
 もちろん、どこまでを助けてどこまでを見捨てるのかということがテーマになっているならば、話は別です。

 まあ大げさなことを書いてしまっていますが、要はプリキュアって、「できる限り守ろうとしてくれる存在」だと思ってしまっているから、そんな風に考えてしまうのかなと。
 古臭い考えなのかも知れませんが。
 結論を言うと、自分から町を傷付けることを率先して行ってはいけないよねと、そういう話になります。
 今作における、ミラクルが怪物を町並みに叩き付けたのと、イチゴや粉砂糖をスイーツに変えられた町から拝借した部分がそうです。
 ここに関して筆者は、わがままな話なのですが、「スイーツ作りのためにお借りします」という表現をして欲しかっただけなのです。ミラクルの方は、率先して攻撃を回避するためにぶつけていたので論外です。

 自分の日常という、ごく個人的な部分を守るということが、最近のプリキュアでは強調されつつあります。だからこそ、こう言った部分の描写がなるべく薄くなっているのかなと、そんな風には思いました。
 ぶっちゃけパリの景観なんて、いちかたちにはピンとこないのかもしれないな、とか。じゃあシエルは、と言う部分へのツッコミはあるのかも知れませんが。
 これきっと、ぶっ壊れることが前提の日本の町並みと違って、パリの町並みには歴史があるからこそこういう風に感じる部分もあるのだろうなと思います。
 まあ筆者の個人的な感覚なので、この辺りで終わりにします。

 で、不満点は最初に吐きだしてしまおうということで、まほプリについて。
 ……筆者は彼女たちが登場することに意義を感じませんでした。先輩が助けてくれた、と言うこと以外に意味は無いでしょうし、そこが全てなのだろうと思います。そしてそれはきっと、子供たちは喜ぶだろうなとも。完全なファンサービスだなと。
 汚い大人である自分は、あれこれ余計なことを考えてしまうだけの話なのでしょう。
 ただですね、助けてもらったときのいちかの態度、これは無いでしょう。「いつぞやの」って、「何ぞやの」だよという。それはまほプリ本編50話なのか、ドリームスターズなのか。はっきりとしなくてただただもやもやとします。
 しかもこの部分、まほプリにとってはものすごく深刻な部分なのです。50話なら少なくともみらいとリコの年齢は大学生で、わざわざ姿を中学生に戻してこの場に駆けつけていることになります。ドリームスターズなら年齢は問題無いですが、再開時の描写として薄すぎる。もっと仲良くなっているべきです。脚本家のことを考えると、50話なのかなと言う気はします。だからいちか以外の反応が薄かったのかなと。ただそうすると、あきらが存在を知っているかのような反応をしたのが良くわからなくなると言うか。
 どちらも両立した世界軸なのかも知れませんが、そうするともう、何が何やらわからなくなります。まほプリという作品はここら辺が本当にもう厄介なのです。
 まあ、細かいことは気にしないようにしましょう。と言うことなのでしょうが。

 ただ、パーティーに忍び込んでスイーツ食べ漁っている描写がある時点で、まほプリだなあと得心できました。もちろん悪い意味で。
 彼女らは相変わらず奔放に、何をしても許される立ち位置にいるのだなと。

 それでまあ、色々と書きましたが作品自体の感想に移りましょう。ようやく。
 まず、37話で登場したソレーヌが登場しないことに僅かな違和感。やっぱり本編に絡めた上に、パリへ来るきっかけを与えた人物が登場しないのは不自然です。ただ、映画単独で見ただけでも楽しめるよう配慮するためには、登場させるとややこしくなるので仕方ないと思います。

 で、個人的にはギャグ描写がことごとく合わなかったですね。シエルの弟子入りの部分にまでギャグが浸食してきたのは、どうも納得がいきませんでした。
 ジャンの凄さを示す部分も、やはり「食べ物」をテーマにしているだけに不快感があります。カラスに邪魔されながらも生地を作り上げた。でもその生地にはカラスが巻き起こした埃やらが色々含まれていそうです。はっきり言って、カラスに邪魔されているなら大人しくスイーツ作りは中断すべきです。
 それか、もっと違う凄さを示すべきだったと思います。ピカリオを悪い方向へ進ませてしまうことを悔いたり、目や耳や鼻が利くことはパティシエにとって重要なことであるのを示したり、所々しっかりとしている部分があるせいで、余計違和感が目立ちました。
 詰まるところ今作はギャグに振りきろうとして振り切れなかった作品だと思っています。それは良いことだと思うのです。子供たちにとって、楽しい描写が盛り沢山なことは重要ですから。
 ただ、シエルの過去については、ギャグとして描くには重大すぎたのです。ジュリオという存在を生みだしてしまった、そんな前提がある箇所にギャグを混ぜるのは不可能です。そこの判断ができていなかったのが、個人的には今作最大の欠点だと思います。
 だから、あくまでシエルの過去の部分については、しっかりと真剣な調子で描いて欲しかったというのが正直なところです。そうして、それ以外の所をギャグで満たして、メリハリをしっかりと付ければ良かったのでは無いかなと。
 
 こういうことを考えると、ものすごく極端なことを書くのですが、子供を舐めてやしないかと考えてしまうのですよね。シエルの過去については茶化したりせずに真剣に描いたら伝わらないのでは無いか、そんなことを考えてしまったのではないかなと。でも筆者は、願望も含めてしまっていますが、そんなことは無いと思うわけで。

 ギャグの部分は監督である土田豊さんの手によるところが大きいのでしょう。そしてそれはしっかりと功を奏していたのだと思います。ただ今作におけるテーマには、ミスマッチだったのだろうなと思います。
 これなら徹底的に、ギャグで振り切れる脚本を描くべきだったのでは無いかなと。
 ただただ単純に、パティシエとしてのシエルのバックボーンが今作として扱われることに、個人的には気の毒になってしまいます。

 後はもう、今回のコンテストについて学べたことは「ありません」と発言した部分ですね。
 もうね、酷い。パティシエの部分については、彼女は真剣でなければいけないはずで、実力者との勝負はそれこそ成長のための格好の場であるはずです。
 それを「ありません」って。そりゃあ、コンテストが完全に添え物になっていましたから、その部分について何か成長していたらおかしいことにはなるのでしょうけど。
 するともう、そもそもコンテストを目的にパリを訪れたこと自体が間違いだったと言わざるを得ないというか。……てか割と本当に要らなかった気がします。久々にパリへ帰りました、そしたら師匠に会って、と言う展開でも違和感はなかったのではないでしょうか。
 理由付けのために用意された物のことごとくが、話に違和感を出す要因になっているのが気になって仕方ありません。

 ジャンのキャラクターも個人的には無しですね。
 孤独を愛する彼が、しかもそれをシエルに説くような人物が、自分が惚れ込んだ本とは言え、その中にいた幽霊と一緒に生活しているというのが不自然です。
 少なくとも現在の彼には、シエルに一人になれだのと言う資格はないでしょう。だからシエルが気に病んでいるのも、不自然でした。
 彼は世間に認められることではなく、ただ己のためだけにスイーツを作る。求道者ということなのでしょう。そしてそれに対して、今回クックのような人物に騙されるから、悪い部分もあるのだと示されたと。

 腕前は超一流だけどセンスがおかしくて評価されないパティシエから、技術だけを学んで世界有数のパティシエとなったシエル。
 彼のそばにいたのは、騙そうとしていたクックだけ。腕を見込んで近づいたソレーヌも、弟子に見込みがあると知るや彼からはさっさと手を引いた。そんな事態を招いたのは、彼が孤独を求めたせいである。
 とまあ、そういう構図な訳です。だから今作は、その部分の解消も含まれていたと。
 説得部分はギャグで済まされたので、そこの是非は推測するしかないわけです。まあ、クックが傍にいるから解消されましたと言うことでよいのでしょう。

 そのクックもクックで、ジャンだけが彼女の料理を認めてくれたというのなら、少しは騙していることの葛藤くらいすればいいのにと思いました。浄化間際に実はジャンに認められて嬉しかったと示されても、「ふーん、そんな彼を騙していたわけか」としか感じられません。

 後はもう、率直な感想としては、「究極のスイーツ」ができあがった後の展開は全部退屈でした。まだ終わらないのかと見ていた記憶があります。ギャグのアイデアが切れたのかなとか、そんなことを考えていましたね。
 で、クックがジャンの元に弟子入りしている場面も良くわからなかったです。幽霊としての彼女は消滅したのに、実体としての彼女がジャンを訪ねているのが不思議でした。
 生前認められなかったということはゆかりに指摘されて、彼女も否定していなかったので、生き霊だったと言うオチでも無いのでしょうし。まあ、細かいことを気にしてはいけないのかも知れません。

 とりあえず、個人的には楽しめなかった作品だったなと。そんな感じでした。



キラキラ☆プリキュアアラモード! Blu-ray Vol.1

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過去感想は下記より
アニメ感想:2017年夏期まとめ