※ネタバレあり。
  筆者の方針は元々、「こう考えれば、楽しめるんじゃない?」という脳内補完をするのが原則です。今作でもそれをできる限り徹底していくつもりでいます。
  できない作品ももちろんありますが、極力。


 いやもう、メチャクチャ面白かった。としか書きようがありません。

++あらすじ++
 久々に授業にきたというほまれ。スポーツ特進から移ってきたのだとか。不真面目な態度に、クラスメートの評価も低い。先生がプリントを提出するように言うのも、無視するのだった。
 しかしはなは、その評価を疑問に思う。

 プリキュア探し、はなは目星がついているという。それはほまれ、しかしさあやは疑問に思う。プリキュアは誘われてなるものでは無いのではないか。

 ほまれが動物病院から出てくるのに出くわす。
 迷い犬だから飼い主が見つかるまで、病院で預かってもらっているのだという。
 三人で散歩をしていると、バスケットコートを独り占めしようとする人たちが。
 さあやとほまれが気付いたときには、はなはその人たちの前に立ちはだかっていた。
 ほまれの提案でスリーオンスリー。さあやとはなは何もできない中、ほまれは見事なボール捌きで圧倒。ゴールを決めようとジャンプしたところで、フィギュアで転んだ失敗が頭を過り、ボールをはなにパスしてしまう。
 はなは焦ってボールを投げると、ゴールが決まる。独り占めしようとしていた人たちは、ほまれが有名人だと気づき、それなら敵う訳ないと逃げていく。

 後日、さあやはほまれがフィギュアスケートの選手で、ケガで長い間休んでいたことを調べる。
 しかしさあやは、跳べない理由はケガではないのではないかと考える。

 クライアス社のチャラリートは、ルールーに新しく登場したキュアエール、キュアアンジュのことを調べさせ、これなら新しいプリキュアが現れない限り勝てると豪語。

 ほまれと先生が橋のところで会話をしている。
 先生がフィギュアスケートをもう一度やろうと提案するが、ほまれは取り合わない。そのまま立ち去る。
 そうして、落ち込む先生をチャラリートがオシマイダーに変えてしまう。

 はなとさあやが駆けつけ、ほまれの前で変身。しかし、研究されているため、苦戦してしまう。
 その中、ほまれが決意を固めようとしたところで、ミライクリスタルが生まれる。
 それを取ろうと駆け出すほまれ、しかし跳ぼうとしたとき、フィギュアスケートでジャンプしたときにケガをした事が脳裏に。

 キャッチは失敗。ミライクリスタルは消えてしまう。
 キュアアンジュは察する、傷ついているのは心だと。
 キュアエールは涙ぐむほまれと、オシマイダーになってしまった先生エールを送る。負けちゃ駄目だと。そして、オシマイダーを圧倒。浄化するのだった。

 夕暮れ、去り際のほまれを応援しようとするはな、ほまれは「今の私には」と謝る。さあやも、今はそっとしておいてあげようと提案。
 はなは、「また明日ね」と声をかけるのだった。
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 あらすじはこんな感じ。細部間違っていたら申し訳ありません。書きたいところ盛り沢山でしたが、なるべく短くしました。

 メタな話ですが、3話までに世界観と目的の説明を終えたからでしょうが、この4話からはキャラクターの内面描写を丁寧に描くことに余裕が生まれていたと思いました。
 何気に「めちょっく」が「めっちゃショック」の略であることが今回描かれていましたね。3話目にして、主人公の口癖が説明されるという。主人公が何やら訳のわからない言葉を使っている、どんな意味なのだろうと興味を引かせてからの説明とか、そういうことだったりするのでしょうか。そんな風に考えた方が楽しいので、そう考えることにしておきます。

 興味深かったのは、なるべく悪者を作らないような工夫がされていたことでしょう。その最たる部分が、バスケットコートを占領しようとしていた三人の男の子たちです。
 もう、上記の時点で作品で言う悪い人には違いないのです。でも、去り際の一言がその印象を幾分緩めています。「有名人には敵わない、逃げろ」です。何故有名人だと敵わないのか、そんな疑問が真っ先に浮かぶけれど、まあ確かに色々なんやかんやで勝てそうにないと感じる、謎の説得力がある。でもやっぱり理由としては訳がわからないので、彼らの存在がギャグ方面に傾くという。そんな絶妙さがあります。

 今回、そういう描写が多かった。ほまれは明らかに浮いている生徒で、周りの生徒も近寄りがたいと思っています。
 それはほまれの言葉遣いや態度にも原因があるのだろうと、そういう風に感じるわけです。ただはなという存在が、ほまれは「悪い子ではない」と思わせる工夫そのものになっていると言うか。要は、何で「変な奴」と言われて大喜びするんですかね、はなは。ってことなのですが。

 好きな演出家さんなので書いてしまいますが、ここら辺がタナカリオンこと田中裕太さんの手腕と言うことなのでしょうかね。コミカルに描きつつ、決めるところはバッチリと描き、内面描写も的確に。後はもしかすると、脚本の補完をするために動作だけでなくセリフも足している? ……さすがに範囲を広く捉えすぎか。
 そもそも1話と2話も印象が悪くならないように注意されていたように思うので、協力し合って描いているのだと言うことで良いのでしょう。3話は個人的事情により知りません。

 で、注目すべきは変身失敗でしょう。トラウマがあるために変身出来なかった。一度変身アイテムが登場したのに、消失した。それほどまでに、彼女にとってフィギュアスケートでジャンプを失敗して負傷したことが、心の枷になっているのだとしっかりと描いている。
 ただ思うのは、今のほまれには「トゲパワワ」が溢れているのではないか、そこを狙われないのだろうかと言ったところでしょうか。
 ここら辺は、それ以上に彼女には「アスパワワ」が備わっているということになるのかなと。犬を助けたときに時間が止まったという描写はちらりとされたわけです。これを見るに、今作におけるプリキュアは「選ばれし者」としての部分も強いように思いました。何せ、トラウマで前に進めずにいたとしても、「アスパワワ」が常人より多く備わっていると言うことですから。
 それとも次回狙われたりするとかでしょうか。そこはひとまず、見ればわかるということで。
 ただ、さあやが「プリキュアは誘われてなるものでは無いのではないか」と考えていることからも、選ばれし者っぽそうです。

 まあ、何というか作画、ものすごく気合いが入っていましたね。日常パートで節約出来る箇所はなるべく動かさず、動かすべきところでがっつり動かしていました。
 遠くにカメラを配置してキャラを動かしていた場面があったのも、面白かったですね。キャラが立って会話をしている、といいう状況をなるべく少なくしようとしているように感じました。筆者はここら辺でどんな印象が与えられるかまではわからないですが、とにかく見ていてバリエーション豊かで楽しかったとだけ。
 後は遠くから眺めると、キャラクターごとの性格や体格などによる動きの違いがはっきりとわかりますね。そういうことなのかも知れません。

 今回はほまれの内面をしっかりと描く回だったためか、先に向けての伏線にもなる部分は少なめだった印象。けれど、その分、ほまれという人物が良くわかるよう工夫されていたなと。
 やる気がないとか怖いとか、いわゆる不良だとクラスメートには思われている。だけど、動物が車に轢かれそうなら身を挺して守るし、公園が仲良く使われていなければ放っておけないのです。そんな正義感もあることが示されていて、好印象を持つに足る人物だとしっかりと描いている。
 後は、可愛い物が好きであると言うことも。

 で、その描写をするためにはなが小学生と間違われていました。はなは身長が高いわけではないことがわかる、良い描写だと思います。だから「お姉さん」に憧れるのだと察せられるように。

 注目すべきは、涙ぐむほまれを見て、先生から生まれたオシマイダーが怯んだことでしょう。涙まで流して。
 これ、犠牲になった人の心を写しとっているが故にできる描写なのですよね。この要素、今後作劇に活かせる気がして、楽しみになりました。
 チャラリートが力を込めたことで再度暴れ出しましたが、要するに生み出されようが逆らう可能性はあることが示されたわけで。自分の目的を達成させるためにオシマイダーになっても我を通そうとする描写を、ギャグにもできるでしょう。抵抗して、プリキュアたちを傷付けないようにさせることもできるでしょう。少し考えただけでも、良い要素です。

 で、次回。ほまれはプリキュアへと変身を遂げるようです。どのようにして、彼女自身の思いにけりを付けさせるのか。楽しみです。



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過去感想は下記より
アニメ感想:2018年冬期まとめ